働き方に関する、社員と経営者とのギャップ

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AERA 11/21号の大特集は、「電通だけじゃない 過労死寸前なのは私だ」。
電通の新入社員の労災事件をきっかけに、「彼女だけではない。仕事に人生を乗っ取られてしまうかのような過酷な働き方に苦しむ人が、日本中にいる」(AERA 同特集)ということで、過労死や働き方について特集されている。

働き方に関しては、社員と経営者、社員も立場や裁量権の大きさによって、捉え方、考え方に大きなギャップがあると思う。

経営者、とくに、起業家は、仕事が大好きで、能力も、モチベーションも高い人が多いが、一番の特徴は、自分の会社・組織や仕事を自由にデザインできる点。
こういうお客さんに、こういう商品・サービスを提供しよう、そして、こういう組織、仕組みで利益を上げ、こういう将来にしようと考え、決めることができる。

もちろん利害関係者(ステークホルダー)との調整が必要な部分はあるが、ビジネス、仕事において「自分で選び、決められること」が圧倒的に多い。自由度が高い。
逆に言えば、だからこそ打ち込める。

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そう書くと、「えっ、皆そうじゃないの?」「上司を説得すればいいじゃないか」「プロとして提言しなさいよ」と、経営者は言いがちだ。
「人は皆、自分の人生を選んでいるのでしょう」とか、「合わない会社にしがみつかずに、転職、起業すればよい」などと言うのは、良くも悪くも経営者的な発想だ。

過労死に関して、電通の事件と関係なく、2015年1月に、堀江貴文氏が、「なんで過労死するほど働くんだろね?休めばいいのに。刑務所じゃあるまいし。無理やり働かされてるのではなかろうに」とTweetしていた(2015/1/2 takapon_jp)。
経営者として、そう考えるのは珍しくないと思う。

武蔵野大学の長谷川秀夫教授の炎上したTweetも、経営幹部や起業家など、仕事における自由度が高い人の発想だ。

AERAの記事で、糸井重里氏にもインタビューしているが、この人は経営者なので、考え方は経営者だが、社員の立場の人に配慮した発言となっているし、そういう経営もしている。

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私は、経営者の考え方もよくわかるが、社員の考え方もよくわかる。

私は、ここ5、6年は自営業者だが、20年以上、会社の管理職をしていた。
自分の上は役員だけで自分の裁量権が比較的大きかった時期も長いが、月に400時間ぐらい働いて、過労から髄膜炎になったこともある。病院で「すぐ入院」と言われたのに、「仕事があるから」と入院を断わった。今考えると、クレイジーである。

会社を辞めた後は、堀江氏的に「なんであんなに働いたんだろね?」と思えるし、冷静に分析すると、単に仕事量が多かったので、減らす必要があった。
けれども、自分も周りも仕事好き・仕事中毒(ワーカホリック)で、その状態が普通だった。

そう、日本の企業で、長時間労働、過労になるのは、仕事量が多いのだ。
電通をはじめとして、社員の能力は高く、生産性を高めるには限界がある。もし、社員の能力が高くなかったとしても、それはそれで、対応する必要がある。

仕事量が多い場合、人を増やすか、仕事を減らすか、それで成り立たない事業なら、内容、ビジネスモデルを考え直したほうがよい。
答えはシンプルなのだが、会社は、上に行けば行くほど、仕事好き・仕事中毒な人が多く、下の自由度が低いところに、しわ寄せが行く結果になったりする。

そして、無理が積み重なると、人も組織もいずれ破綻する。いろいろな組織、会社を見ていてそう思う。

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ビジネスにおいて、社員が「自分で選び、決められること」は、経営者と比較して少ないし、上司を説得したり、プロとして提言しても、相手の先見性がなかったり、たとえ法的に正しいことでも、却下されることはよくある。

社員は、ある意味、飛行機に乗っている状態なので、「嫌なら、降りればいいじゃないか」といわれても、それほど簡単ではない。
行き先や飛び方は、パイロット(経営陣)にかかっている。

経営者や幹部は、自分たちと社員は違うことを認識して、経営者も含めた皆が死ぬほど頑張らなくても、無理なく回る組織、ビジネスの仕組みを作ったほうがよいと思う。

社員と経営者とのギャップは、身をもってよくわかるので、自分はつなげる役目ができるのではないかとも思う(以前、川嵜が似たようなことを語っている、「はたらく人たち」の記事)。


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